神奈川県山北町に移住して2年半ほどの月日が流れた。
この間、町議会一般質問を全て傍聴し、湯川裕司町長ら町執行部の答弁要旨をまとめるなどしてきた。
また、町のふるさと納税に関する業務委託契約について住民監査請求を実施し、「規制が順守されていないおそれがあることが認められた」とする監査結果を導き出した。
知名度が低いヤマモリジャーナルではあるが、町民の中には熱心に記事を読んでくれる人もいる。そんな読者から「住民監査請求や町への要望を出すときの how to を記事にできないか」とのリクエストをいただいた。
今回は行政運営に疑義が生じた際、誰でも申請用紙1枚で公文書を手に入れられる「情報開示請求」についてまとめる。
申請用紙1枚で請求可能
「情報開示請求」とは、行政が保有する公文書などについて市民が公開を求める制度。
都道府県や市町村ごとに情報公開に関する条例が制定され、警察や裁判所などに対しても開示請求は行える。
山北町では「企画総務課」が窓口になっていて、ここで「情報開示請求をしたい」と頼めば申請書をもらえる。筆者が町のふるさと納税業務委託関連の資料を入手した際に使用した申請書がこれ↓。
申請書の記入は特に難しいことはないが、最も気を付けなければならないのが「公開請求に係る行政情報の内容」という欄。
請求したい文書をより具体的に記述する必要があり、事前に検討しておくことをお薦めする。そして何より大事になるのが、最後に「一切の資料」というフレーズを付けること。こうすることで、文書を開示する行政側が資料を限定しにくくなる。(開示資料が膨大になり、コピー代がかさむ可能性もある)
筆者はこの時、「山北町とヤマキタ森林ベンチャー(株)がふるさと納税に関する契約を結ぶに至った経緯と、契約内容、契約方式が分かる一切の資料」と記入した。
申請から1か月以上が過ぎたころ、ようやく33枚の行政文書が開示された。
開示された文書の中には、湯川町長が同社設立前から会社側のメンバーとLINEでやり取りをして便宜を図っていたことが分かる記録や、町長が「湯川裕司」個人として登録した商標を業務の「主軸」とする業務委託契約書などが含まれていた。
この資料を基に契約の担当部署である商工観光課に問い合わせると、契約方式が「1社随意契約」であることが分かり、町の「随意契約ガイドライン」に抵触する可能性が極めて高いことが判明した。
その上で今年1月に「住民監査請求」を行い、監査委員が「法令、規則等において定められた契約における競争性、公正性、透明性等を担保するための規制が順守されていないおそれがあることが認められた(中略)町長は本件契約について速やかに適正な契約手続きとなるよう改善を求める」などとする監査結果を公表したのだった。
「住民監査請求」を行う際には、さまざまな証拠書類の提出が必要であるため「情報開示請求」で資料を収集する作業は欠かせない。
筆者自身、「住民監査請求」は初めての経験で、かながわ市民オンブズマンに問い合わせをしたり、文献で調べたりして何とか実施できたのであり、まだまだ「how to」を紹介できるには至っていない。
このため、今回は申請書1枚でできる「情報開示請求」の「how to」をまとめた。
編集後記
まさか山北町に移住して自分が「住民監査請求」をするとは思ってもいなかった。ただ、それだけ今回の契約については町民の中でいぶかる声が少なくなかった。
今回、このような記事のリクエストをくれたのも移住者の1人で、町行政に対して不信感を抱いている様子だ。
町民にこれほど疑義を持たれるような行政運営はするべきではないし、より透明性が高く、住民が参加しやすい町行政にならないものかと思う。
また、町行政の「監視役」とされる町議会にはもっと存在感を発揮してもらいたいものでもある。
コメント
こんなに簡単に、情報公開請求ができることに驚きました!ブラックボックス的な役場の手続きを、監査請求は大変だとしても稟議書などの閲覧を請求するだけでも、町民は見てるぞ、という牽制になるのでは思います。
請求用紙のブランクフォームが役場のHPからダウンロードできるかな?と思ってチェックしましたが、ありませんでした。記事に掲載のフォーマットを自分で作って、申請してみようかと思います!
いつもありがとうございます!🙇♂️
念のため、申請書は役場で受け取ることをオススメしますよ!