年間620億円の「森林環境税」 国の方針は木材増産に重きを置きすぎでは??

森林政策に関する考察と雑記
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2024年度から、納税者1人当たり1千円を上乗せして徴収する新税「森林環境税」が始まることを知っている人はどれだけいるだろうか?

納税義務者は6200万人いるらしいので、毎年620億円の税金が集まる計算になる。

森林環境税に関するグラフ「林野2018.2No.131」より抜粋

衆議院選挙1回分の税金

620億円という税金の規模はというと…
googleで「600億円 何ができる」で検索してみると、中日新聞の「選挙費用600億円で何ができる?がトップに表示された。

この記事によると、2014年度に行われた衆議院選挙の費用が約616億円だったという。
なるほど。森林環境税の規模は毎年衆議院選挙が行われるようなもの!
そう考えると結構な額だと思う。

国民から徴収された「森林環境税」は、「森林環境譲与税」に名を変えて全国の都道府県と市町村に配分される(譲与税は既に国が借金をする形で2019年9月から配分が始まっている)。その使い道は「森林経営管理法における「民有林」についての雑記」で書いた「民有林」を集約化する際などに使われる。→この一連の流れが「新たな森林管理システム」!
譲与税は森林面積が少ない自治体では公共施設の木造化にも使える。

「納税者から疑問」出る?

ただ、税金の配分額を巡っては賛否があるみたい。それは新税の配分額が、各自治体の①人口②人工林面積③林業就業者数の3要素を基準として計算され、人口が多い都市部に多額の税金が配分されるというばらつきが生じるから。

共同通信は、「森林税収の配分、大都市優遇」の記事で「納税者から疑問が出そうだ」と指摘している。

しかしまあ、放置された人工林の整備や木材利用が進むことで山村地域の活性化につながれば、との思いもある。

ここで筆者が問題提起したいのは、集約化された人工林の整備を受託する「意欲と能力のある林業経営者」を選定する基準だ。

増産ありき

「30林整計第713号」p16より抜粋

上記資料は、林野庁が各都道府県に送付したもの。「意欲と能力のある林業経営者」の選定は都道府県が行うことになっていて、この資料にはその選定基準の〝たたき台〟を示している。

その第一に掲げられているのがで囲った「生産量の増加又は生産性の向上」。生産量を増加させるには言わずもがなだが、木をたくさん切らないといけない。また、生産性を向上するには大きな機械(高性能林業機械)が必要になる。高性能林業機械を導入するにはコストがかかるため、それをペイするためにさらに木々を切らないといけない。

つまり「生産量の増加又は生産性の向上」とは、「山からたくさん木を切り出せ」ということ。林野庁はそういう経営者こそが「意欲と能力のある林業経営者と定義づけようとしている。

しかし、樹木を大量に切り出すことが森林環境を守る上で本当に第一に考えるべきなのだろうか?「木材増産」ではなく、こまめな間伐で「100年の森」をつくることを目指す自伐型林業は、林野庁が示した基準とは合致しない。このため、自伐型林業の実践者たちは「意欲と能力のある林業経営者」と見なされることは厳しい状況だ。

林野庁が示した選定基準をほぼそのまま流用する都道府県は少なくないだろう。筆者としては、「100年の森」をつくる林業者も「意欲と能力のある林業経営者」として認めてられる基準に変えてもらえるように要望したい。

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