「木は太すぎると安くなる」と聞いて合点がいく人はどれだけいるだろうか??
その仕組みを解説する。
木が太いと安くなる不思議
左の一覧は木材の長さと太さごとの価格表。
ここで注意が必要なのは、この価格は木1本当たりのものではなく、その長さと太さの木を1㎥出荷した時につく価格ということ。
例えば、表上段の黄色で囲ったスギ4㍍材「直・小曲」の欄を見ると、径級(太さ)18~22cmが14,500円なのに対して、赤線で囲った30~32cmだと12,500円になり2千円安くなっている。
最も差が大きいのは、資料右下にあるヒノキの材長6㍍の場合だ。「直」の欄を見ると、径級が18~20だと26,000円の価格がつくのに対して、径級が22だと21,000円になり5千円も安くなっているのが分かる。
立米ではなく1本当たりの値段を見てみると
しかしこの表、もう一点見ておかなければならない所がある。それは、▢で囲んだ値。これは、木材1本当たりの値段を表している。
例えば、4㍍材の径級18~22の欄を見ると「4m20cm-0.160㎥-2320円/1本」とある。
これは、「径級20センチの4㍍材の材積は0.160㎥あり、1本当たりの値段は2320円」という意味。
次に同じ4㍍材の径級30~32の欄を見ると1本当たりの値段は4500円になっている。
つまり、1立米当たりの値段は細い木の方が高いが、1本当たりの値段は太い木の方が高くなるという逆転現象が起きている。
造材の手間を考えると…
さらにもう少し計算をしてみる。
径級20㌢の4㍍材を1㎥(14,500円)出荷するには、1㎥÷0.160㎥≒6本切り出さなければならない。
一方、1㎥当たり12,500円になる径級30㌢の4㍍材の場合は、1㎥÷0.360㎥≒3本程度で済む計算になる。
造材する手間暇を考えると太い木を切った方がおよそ半分の労力で済むとも考えられる。
なんとも悩ましい問題である…。
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