今回のブログは、実体験をフィクション化。
主人公のヤマモリは、副業的な自伐型林業を志して山間部に移住し数ヶ月が過ぎた。
彼は今、森林所有者の探索という壁にぶち当たっている。
小規模零細な森林所有者という壁…
移住して数ヶ月が過ぎたヤマモリは、師匠の山だけではなくイチから自分で山の施業をしたいと考えていた。そこに地元のおじいさんが現れ、こんな提案を。
ワシの山を切ってもらえんか?
えっ!いいんですか!ありがとうございます
普段から集落の集いに積極的に参加していたヤマモリの姿を見ていたおじいさんからのうれしい提案だった。
おじいさんの山を見に行くと、50年以上前に植えられたスギとヒノキが大きく育っていた。
しかし、その山の広さは300平方メートルほど。
森林所有者と言っても日本の場合、小規模零細な所有者が多いのだ。
ヤマモリはこの面積で利益を出せるか疑問だった。
師匠に相談すると…
おじいさんの山と周りの山を集約してみては?
その手がありましたね
おじいさんの山だけではなく、周囲の山を集約化して施業できる森林面積を広げてはどうか、という師匠の提案通りヤマモリはおじいさんの山の周辺の森林所有者を探した。しかし、地元住民にその存在を知る人はいなかった…
申請ごとに450円の手数料を取る法務局
そこでヤマモリが訪れたのは法務局だった。山の地番が分かれば、法務局でその地番ごとの登記情報(≒所有者情報)を得られるからだ。
まずヤマモリは、おじいさんの山の周辺の地番を調べるため「地図・地図に準ずる図面の閲覧」を行った。
おじいさんの山の地番を用紙に記入して申請すると、その周辺の小字(こあざ)の地番が地図になって出てくる。一つの小字を調べるのに450円の手数料がかかる。
↓がその地図。
こんなにたくさん…
地図を見たヤマモリは驚愕した。おじいさんの山の周辺にはこんなにもたくさんの地番があったのだ。
さらに、一つの地番の登記情報を調べるのにまた450円の手数料を支払わなければならない。
登記情報は明治時代のまま
試しにヤマモリは一つの地番に絞って登記情報を調べてもらった(もちろん450円を支払って)。
するとまたヤマモリは驚いた。
登記されたのは明治34年…
その地番の山を登記した人は明治時代の人だった。明治34年とは、西暦1901年のこと。当然、生きているはずもない。
山林は相続登記の手続きがなされずにそのまま放置されるケースが少なくないが、まさにこの山も典型的な例だった。
一つの地番の登記情報を調べるごとに450円を支払わなければならず、ヤマモリは諦めて法務局を後にした。
そして、山間部に広がる森林資源を目の前にして、その活用の難しさに途方に暮れたのだった。
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