神奈川県山北町/令和3年度「町長と語ろうまちづくり」に参加/県内で最も人口減少が深刻な町の移住定住政策を質問/湯川町長の答弁は?

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神奈川県山北町の湯川裕司町長と地域住民が町の将来像などを話し合う座談会「町長と語ろうまちづくり」が10月25日、同町の山間部にある共和地区で開かれた。
共和地区は89世帯165人が暮らし、人口に占める高齢者の割合は53.9%(2021年5月時点)で、町内随一の限界集落。
4月に共和地区に移住した筆者としては、県内市区町村の中で最も人口減少が深刻な山北町の移住定住政策と、その中でも特に少子高齢化が止まらない共和地区の将来像について町長の考えを聞きたかったが、地域住民の関心事は他にもたくさんあるようで、少ない質問時間の中で何とか一つ、二つの質問ができた。座談会の内容を振り返る。

残り20分でようやく質問

事前に用意された【地域テーマ】は
①大野山のハイキングコース及びその周辺の道路等の環境整備について
②ヤマビル対策について
の二つ。

ハイキングコースの土砂流出は深刻で、ヤマビルは共和地区では自宅の庭にまで出没する。いずれも地域にとっては重要なテーマであり、町行政としても環境整備に取り組む姿勢を示した。

午後6時から開かれた座談会は2時間の予定で、自由に質問ができるようになったのは午後7時40分ごろ。つまり残り時間は20分。

会場からは次々に手が挙がる。

筆者も何とか指名してもらい、質問をすることができた。
質問と答弁の要旨は以下の通り。

Q1 県内市区町村の人口増加率のトップは開成町の+7.8%。山北町は県内最低の-8.9%。つまり減っている。町長の3期目が終わりかけているが、これまでの移住定住対策の改善点や反省点、あるいは逆に地域住民に『こんな協力をしてほしい』というものがあれば聞きたい

湯川町長
「定住対策課を設け、移住していただける方と転出してしまう方の割合は実際にはちょっと転出が多いという程度。しかし、生まれる方と亡くなる方の差が年に100人以上出てしまっている」

「移住定住については、最近では(町中心部の)丸山に移住された方が『ここがいい』という風にテレビで映っている。そういった意味では本当に住んで良かったとか、住みたいという方が増えているのは町としてはありがたい。ただ、それを全部に広げていくということが難しい」

「特に共和については熱心にやっていただいている。移住して来られた方がいらっしゃるのはありがたい。さまざまな機会を通じて、いきなり移住は無理でも関係人口を多くして、住んでいただける方、関係を持っていただける方を増やしていきたい」

Q2(町中心部の)丸山と共和では移住定住の対策は違うと思う。町長は共和地区をこれからどうしていきたいのか。地域に協力してもらいたいことがあれば

湯川町長
「移住してこられる方にも移住者交流会をやっているが、正直どういう分析をしていいか。例えば丸山とここが違うと言っても、移ろうという方にはどういう訳かある特徴が有り、山北町で言うと二つの地区が断トツに増えている。なぜ増えているかまだ分析はしていないが、何かそういった魅力というか、決断するものがあるんだろうなと思っている。そういった意味では、地区によっては、共和地区は人数は少ないが移住していただける方がいらっしゃる。地区によっては全く、無理な地区もある」

「町の政策としてここの所をこういう風にするから来てほしいと言っても一般の方々が選ぶ訳ですから、そこのところにどういう魅力があってどういう条件があって、というのは完璧に分析はできていない。今現在、増えている地区というのはある程度特定したところが急激に増えていて、それ以外の地区は隣の地区であってもあまり増えない。これから分析しながらさらに増やしてしていきたい」

山北町の魅力は?

他の参加者からは「山北町の一番の魅力は何だと考えるか。移住を考えている人に何が魅力と伝えるか」という質問も出た。

湯川町長は
「山もあれば川もあれば湖もある。住んでいる人の人情がいいのか。農作物とかさまざまなものがあると思う。ただ、私としては今までの山北の歴史とか文化とかそういったものが根底にあって山北の魅力があると思う。そういった意味では特に共和地区の皆さんは熱心にさまざまなことをやられて自分たちで地域をつくろうと意識が高いところでもある。そういった意味では共和を見習いながら山北の魅力を再発見するようなことを目指していきたい」

湯川町長の「山北の歴史とか文化」という言葉の背景には共和地区に伝承される民俗芸能で、国指定重要無形民俗文化財の「山北のお峯入り」が念頭にあったのだろうと推察する。

しかし、その共和地区は町内でも特に少子高齢化が深刻で、10年、20年後の「お峯入り」の担い手のことを考えると不安もよぎる。
さらに、移住者の動向については「分析ができていない」のが現状だ。来年7月に3期目の任期が終わる湯川町長。
座談会では4期目への出馬をうかがわせる言葉もあった。湯川町長がこれからの町のビジョンをいかに語るのか、注視していきたい。

このほか、共和地区で計画されているグランピング施設建設の進捗状況や森林環境譲与税の活用方法などについても質問があった。
しかし、いずれも質問時間が短く、議論を深めることはできなかった。

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