【水源環境保全課の説明に疑義】神奈川県議会で虚偽答弁か/環境農政常任委員会の陳情採決/意思決定に影響の恐れ

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神奈川県議会環境農政常任委員会(古賀照基委員長・立憲民主党)は18日、ヤマモリジャーナルが提出した県の森林整備に関する補助制度の改正を求める陳情について採決を行い、「不了承」とした。

陳情採決の前に同委員会が行った聞き取りで、所管課の水源環境保全課は他自治体の事例に関して事実と異なる説明をするなど、制度改正の必要性がないとの印象操作をした可能性が極めて高く、各委員の意思決定に影響を与えた恐れがある。
県議会議員は県民の代表であり、水源環境保全課の対応は県民への信用失墜行為とも言える。

また、同委員会に所属する県議会議員の意思決定の過程を見ると、事実を見極める質問力の低さも際立った。

高知と東京の説明に疑義

事実と異なる説明をする水源環境保全課の答弁をチェックし切れなかった県議会環境農政常任委員会の委員

陳情のタイトルは「『神奈川県協力協約推進事業』の『事後申請方式』導入と、『県協力協約推進事業実施要綱』の改定を求める陳情」。

神奈川県の森林整備に関する補助制度の「協力協約推進事業」は、県と市町村の事務作業を優先させ、林業事業者は補助金の「交付決定」が出るまで作業に取りかかれないとされている。

一方、全国一律の国の「造林補助」という制度は交付決定前の事業着手を認め、森林整備完了後に補助金を申請する「事後申請方式」を採用している。この方式は、森林整備の特殊性を鑑みた運用で、高知県や東京都など他の自治体の単独補助事業でも取り入れられている。

「事後申請方式」の最大のメリットは、林業事業者が「交付決定」を待つ必要がなく、工期に余裕を持って森林整備に取り組めることにある。このため今回提出した陳情では「協力協約」に「事後申請方式」の導入を求めている。

この日の委員会で、井出博晶・水源環境保全課長は「協力協約」が県独自の補助事業であるため、「交付決定後の着手」という県の補助制度の原則が適用されると強調。高知県と東京都の補助制度については「全国一律の運用で行っている造林補助事業の枠組みの中で行われている単独事業。国庫(造林補助)に加えて県が財源負担している」と説明した。

だが、この答弁は正確さを欠いている。

高知県と東京都の担当者によると、それぞれの補助制度は「造林補助」に上乗せされるケースもあるが、「造林補助」と別枠の補助メニューも用意されている。
そもそも財源は県と都が用意する上、それぞれに「要綱」を作成した補助制度であるから神奈川県と同様に「独自の補助事業」であることに変わりはない。
つまり、「協力協約」が神奈川県独自の補助制度であるから「事後申請方式」の導入ができない、という説明にはならない。

小規模事業者の存在触れず

また、国の「造林補助」が「事後申請方式」を認めている理由について井出課長は「全国的に補助交付件数が極めて多く交付決定が遅れる恐れがあることなどから、林野庁がその運用を通知して例外的な取り扱いとしている」と説明。

「事後申請方式」が認められるのは交付件数が多いことも一つの要因だが、林野庁企画課は取材に対して「森林の作業には季節性の部分があり、きちんと積算できない。天候や山の条件などいろいろな諸事情があって事後申請方式を認めている」としている。

つまり、自然相手の森林整備は事業変更などがよくあるため、作業完了後の補助金申請を認めているということだ。他の自治体もそれに倣った形で制度を運用しているにもかかわらず、井出課長はその点を一切説明しなかった。

また、井出課長は「協力協約」について「これまで円滑に運用を行っている。市町村や林業事業体から『事後申請方式』への変更などの要望はない」と述べた。

神奈川県では、森林組合や大きな林業事業体に限定し、森林所有者と森林整備に関する契約(10~20年)を交わすことができる「長期施業受委託事業」という補助メニューなどがある。人員を確保できる大きな事業体であれば、「長期施業受委託」と「協力協約」を組み合わせて森林整備を進めることができるが、人員が乏しい小規模な事業体が収益を上げようとすれば、「協力協約」の補助は欠かせない。

近年、森林資源が豊富な神奈川県西部では、小規模•副業的に林業に参入しようとする動きがある。
今回の陳情は、そういった人たちが工期に余裕を持ちながら安全に、確実に人工林の森林整備を通じて収入を得るため「協力協約」の「事後申請方式」の導入を求めたものであったが、同課はその存在に言及せず「円滑に運用」されていると説明した。

以上のように、同課から事実に基づかない情報や、一部切り取った内容の説明を受けた同委員会は、全会一致で陳情を「不了承」とした。

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