副業的な「自伐型林業」の可能性を探るため、全くの異業種から参入して半年が過ぎた。
デビューは2020年1月。
慣れないチェーンソーを抱え、真冬だというのに汗だくになりながら必死になって木を切った。
慣れないチェーンソーを抱え、真冬だというのに汗だくになりながら必死になって木を切った。
考えてみれば「木を切る」とか「チェーンソーを使う」なんてことは普通の会社員をしていたら経験することはなかっただろう。
そういう意味ではこれまでに身につけた技術は全てが「0」→「1」を生み出してきたと言える。
そういう意味ではこれまでに身につけた技術は全てが「0」→「1」を生み出してきたと言える。
この半年間で身につけた主な能力を挙げると以下の6つになるかと思う。
✔ 目立て
✔ 玉切り
✔ 利益を最大化する造材
✔ ロープで牽引して木を倒す
✔ 追いづる切り
✔ 林内作業車による集材
✔ 玉切り
✔ 利益を最大化する造材
✔ ロープで牽引して木を倒す
✔ 追いづる切り
✔ 林内作業車による集材
「目立て」ができなければ悪循環に
「目立て」とはチェーンソーの刃を研ぐこと。
刃が研げていないチェーンソーは驚くほど切れないので作業効率が悪くなる。そうなると木を切る時間も長くなり、体力を消耗する。さらにチェーンソーにも負荷を掛けるため故障の原因にもなる。
つまり「目立て」ができないということは、悪循環の連鎖を生んでしまうことになる。
「刃を研ぐのがそんなに難しいの?」と聞かれそうだが、チェーンソーの刃に対して30度の角度で丸やすりを沿わせるというのは初心者にとっては至難の業と言える。
熟練者のなかには、チェーンソーを膝に抱えて丸やすりを巧みに操る人もいるが、初心者は絶対にまねしない方がいい。師匠から「初心者ほど道具を使え」と言われ、「やすりホルダー」(下の写真)は欠かせないものになった。
木を出荷するための「玉切り」と「造材」
筆者は自伐型林業に参入する前に森林ボランティアの活動に参加していたため、樹木を「なんとなく」切り倒すことはできたが、木を出荷した経験はなかった。
自伐型林業を教えてくれている師匠は山に入った初日、「木を切る前に何メートルで造材するか考えろ」と言った。
切ろうとしている木がだいたい何メートルのところで曲がっているか。この太さだったら長さ何メートルで造材すれば利益を最大にできるかを考えてから木を切り倒せという意味だ。そのためには「自伐型初心者は木材価格表を自作すべし!」の記事で触れた価格表を頭に入れておく必要がある。
そして、伐倒後に横倒しになった木を玉切りするのにも技術がいる。
幹にどういった圧力が掛かっているかを考えながら切り進めないと、チェーンソーのバーが木に挟まれて全く動けなくなることがある。
最初のころはこれでもかというくらい木に挟まれ続けたが、木の挙動を確認し、ときにはクサビを使いながら玉切ることで挟まれる回数は格段に減っていった。
最初のころはこれでもかというくらい木に挟まれ続けたが、木の挙動を確認し、ときにはクサビを使いながら玉切ることで挟まれる回数は格段に減っていった。
また、「この太さでこの長さなら大体いくらになる」という木を見る目も、回数をこなすことで養えてきた。
切り倒す方向をコントロールするロープワーク
木は1本1本カタチが違うため、その傾きや枝の張り具合などで重心がそれぞれ異なる。
全ての木を重心方向に倒せたら楽なのだが、伐倒方向に障害物がある場合などは重心方向を変えて切り倒す必要がある。
全ての木を重心方向に倒せたら楽なのだが、伐倒方向に障害物がある場合などは重心方向を変えて切り倒す必要がある。
そんなときは木にロープを巻きつけ、牽引具(師匠のやり方はホームセンターで買えるハンドプーラーを使用)で引っ張らなければならない。この場合、木にロープを掛ける技術や「もやい結び」などのロープワークも必要になってくる。
「追い口切り」では限界がある
チェーンソーを扱うためには「特別教育」という講習を受ける必要があるのだが、この講習の実技で習ったのは一般的な伐倒方法である「追い口切り」だった。
しかし、この切り方だとチェーンソーのバーの長さを超える太さの木は切れないし、重心が偏った「偏心木」を安全に倒すことができない。
このため、大径木と偏心木を安全に切り倒す「追いづる切り」の技術が必要になる。
最初のころは突っ込み切りがうまくできなかったり、チェーンソーの水平が取れなかったりして苦労したが、丸太を使った反復練習で克服することができた。
このため、大径木と偏心木を安全に切り倒す「追いづる切り」の技術が必要になる。
最初のころは突っ込み切りがうまくできなかったり、チェーンソーの水平が取れなかったりして苦労したが、丸太を使った反復練習で克服することができた。
「追いづる切り」については以下のサイトで詳しく説明されている。
林内作業車による集材・搬出
ここまで、木を切り倒すための技術を紹介してきたが、当然ながら倒した木を山から搬出しないと売ることはできない。
今は師匠の「林内作業車」をお借りして集材・搬出をしている。
集材する際、丸太の重心を考えてワイヤーを掛けたり、丸太を拾いやすい位置に林内作業車を動かしたりしなければならない。
この技術は師匠の動きを見て盗み、反復するうちに徐々に身についてきた。
この技術は師匠の動きを見て盗み、反復するうちに徐々に身についてきた。
これからの課題…
これまで見てきた「6つの技術」はどれもこの半年で「0」→「1」にできたもの。しかし、これはあくまで「1」であり、もっと向上させなければならない。
そして、最大の課題はバックホーによる作業道づくり。
木材を搬出するための道がなければ、身につけた「6つの技術」は生かせない。
木材を搬出するための道がなければ、身につけた「6つの技術」は生かせない。
不安定な斜面でバックホーを操作して山を削り、道を拓く。山の形状を見てどのルートで道をつけるか決めていく、といった能力はほとんど身につけられていない。
まだ参入して半年。急ぐ必要はないが、少しずつこの能力を養っていきたい。
まだ参入して半年。急ぐ必要はないが、少しずつこの能力を養っていきたい。
終わりに
これまでの半年間、ヒヤリハットどころか重大事故になりかねない経験もした。
本当に林業は危険な仕事だと痛感した。
危険な思いをする要因は、技術のなさや経験不足、慢心などさまざまあると思う。
本当に林業は危険な仕事だと痛感した。
危険な思いをする要因は、技術のなさや経験不足、慢心などさまざまあると思う。
なぜ今、自分が「自伐型林業」に挑戦しているかというと、日本の国土の約7割を覆う「森林」という資源を生かして若者が地方で暮らしていくことはできないかを探るためだ。
それは口で言うほど生やさしいものではないことはこの半年間で痛いほど教えられた。
それは口で言うほど生やさしいものではないことはこの半年間で痛いほど教えられた。
だけどまだ半年。
焦らず、希望を持って頑張っていこうと思う。
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