【原発訴訟】伊方原発は止まるの?止まらないの? 広島高裁の判断をまとめてみた

番外編
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2020年1月17日、広島高裁が愛媛県の伊方原発3号機の運転を認めない決定をした。
この報道に触れた筆者は「以前にも運転差し止めのニュースあったよな?」と既視感を覚えた。
少しググってみると、これは既視感でもなんでもなく、2017年12月に同じく広島高裁が既に運転を差し止める判断を下していた。

筆者が無知なだけかもしれないが、頭の中を整理する上でも一連の伊方原発運転差し止め訴訟の経緯をまとめてみる。

全国で32件の「脱原発訴訟」

一連の訴訟の発端は言うまでもなく、2011年3月の東日本大震災と東京電力福島第1原発事故による「原発安全神話」の崩壊である。

脱原発弁護団全国連絡会のHPによると、現在係争中の原発の運転差し止めに関する裁判は全国で計32件あるという(2019年6月時点)。裁判は本訴28件、仮処分5件に分けられる。

本訴と仮処分の違いは以下のサイトで分かりやすく説明されている。要するに仮処分は本訴よりも早く結論が出るメリットがあるものの、本訴の結果次第では結論が変わる可能性もあるということらしい。

【図解】仮処分命令とは?仮処分申請の流れと本訴訟との違い
仮処分とは、裁判の結果が無駄にならないように暫定的に処置することですが、概要をいまいちつかめない方もいるでしょう。今回は、仮処分手続きの内容と流れ、仮処分を弁護士に依頼した場合の費用を解説します。

広島と山口の住民による二つの仮処分

2017年12月に広島高裁が運転差し止めの決定をしたのは、広島市の住民が行った仮処分申請で、「原発の運転を差し止める高裁の司法判断は全国で初」と報道された。
しかし、その後四国電力がこの判断に異議申し立てを行い、今度は一転、四電の勝訴となる(2018年9月)。
四電は、翌月に3号機の再稼働に踏み切った。現在は定期検査中で今年4月に検査を終える予定だった。

そして今回(2020年1月)、広島高裁は再び運転差し止めの決定を下した。この仮処分申請は、山口県の住民が行ったものだった。四電は異議申し立てを行う方針で、今後どのような結論が導き出されるかは不透明な状況だ。

「仮処分」なのか「本訴」なのかを見分けよう

2017年12月と今回の広島高裁による運転差し止めの判断はいずれも「仮処分」の手続きであることを忘れてはならない。同時並行で「本訴」手続きも行われていて、この結論が最も重要視される。
なので、ニュースを見る際には「仮処分」の決定か、「本訴」の判決かを見分ける必要がある。

ちなみになぜ、伊方原発3号機が注目され、1,2号機の話題が少ないかというと、この二つの原発は老朽化のため既に廃炉が決まっているからのようだ。

 

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