コロナ禍だからこそ参考にしたい「21世紀の国土のグランドデザイン」。東京一極集中は是正できるか?

コラム
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1998年に閣議決定された「21世紀の国土のグランドデザイン」という壮大な計画がある。

この計画では、東京一極集中する人口偏在について当時から「国土構造上の問題である」と是正を求めている。

2020年は新型コロナウイルスが猛威を振るい、東京を中心に都市部で「密」を避けることが難しい状況が続いている今、これからの国土利用を考える上でもこの「グランドデザイン」は参考になりそう。

計画策定から22年たった今も東京一極集中が是正されていないのは残念だが、せっかく税金を投じて考案された「21世紀の国土のグランドデザイン」を振り返ってみる。

東京頂点は「高々100年」

「グランドデザイン」では、現在の国土利用の状態が形づくられたのは、戦前の重化学工業化と、戦後に欧米に追いつくための開発の結果だったとして「東京を頂点とする太平洋ベルト地帯に集中した国土構造の形成が進んだのは高々この 100年間のことであり、現在の国土構造を固定的なものととらえるべきではない」と国土利用の方向性を転換するように求めている。

また、東京一極集中の弊害として、「国土管理上重要な農地森林等の管理が行き届かず、環境保全や防災、食料生産力の確保等国民生活の安全・安心を確保する上で様々な問題が生じている」ことなどを挙げている。

新型コロナのような感染症の拡大までは触れられていないが「大規模地震等において東京圏の機能が麻痺した場合、全国的にも大きな混乱を引き起こすおそれがある」として「こうした国土の状況が続くのでは、これからの経済社会の発展に明るい展望が開けないことは明らかであると強く指摘して国土利用の「明確な転換」を求めている。

言うが易しか

「21世紀の国土のグランドデザイン」の理念は、2008年と2015年に策定された「国土形成計画」にも表れているが、いまだに東京一極集中の流れは続いている。

なぜ人口が東京に集中するかというと、言わずもがな、雇用や経済の問題がある。

この点、当ブログ筆者は日本の国土のおよそ7割を占める森林という資源を生かして収入を補えないかと模索するため、林業を学びながら山間部で暮らしている。
しかし、言葉で言うのは簡単だが、急な斜面で1本ずつ形が違う木を切り倒すのは大変だし、施業できる山を確保するために森林所有者を探し出すことに頭を悩めることもある。

人口偏在の問題を是正しようとする「グランドデザイン」の理念は素晴らしいが、言うが易し、といったところか。

しかし、21世紀に入ってまだ20年ほど。
コロナの影響もあり「地方分散型社会」の意識の高まりも予想される。
この先の80年で国土利用の在り方や人口偏在の問題に何らかの変化を起こせるか。長い目と希望を持って取り組んでいかなければならない。
つまるところ、私の場合は「着眼大局、着手小局」の考えでまずは目の前の1本の木を安全に切り倒すことからということになる。

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